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by mujyuuryoku

嘘読書感想文『黄昏のエビフライ』

かつて最高のおかずとして他の追随を許さなかったエビフライ。
しかし今では「あったらちょっと嬉しい」程度の存在。
お弁当のスペシャルゲストとして生活は維持しているものの、
エビフライは何か物足りない日々を送っていた……


そんなエビフライの哀愁がひしひしと伝わってくる小説でした。
僕らはその日の気分でおかずを選んだりしていますが、
選ばれる立場のおかずたちには彼らなりの苦悩があるんですね。

親友であるキャベツとのケンカ、
とんかつソースとタルタルソースの間で揺れる恋心、
メインとして引っ張りだこのハンバーグへの嫉妬心……

おかずは種類があればあるほど良いと思ってた自分が恥ずかしいです。


「俺の尻尾は飾りじゃねえ! 食べ物だ!」
「油っぽいんじゃない! 湿気てるんだ! ご飯のやろうのせいでな!」
「もう、戻れないのかな。揚げたてのあの頃には……」
等、さまざまな名台詞が出てくるこの小説ですが、
僕の心に一番響いたセリフは
「衣がなくても、俺のことエビフライだと認めてくれるか?」
ですね。
人は自分がここは誰よりも優れていると思える部分を多少なりとも持っているかと思いますが、
はたしてそれがなくなったとき、
自分がいままでと同じように人から愛してもらえるのかと不安になったりするはずです。
でもそれを恐れて分厚い衣をつけて見た目だけ魅力的にしても、
結局は誰にも愛してもらえないんですよね。
単純なメッセージではあるんですが、
エビフライ目線で語られる事によってすごく新鮮な……いや、揚げたてな印象を受けました。


ただ僕はエビが好きではないんで、次回作はカニ天ぷらでお願いします。
というわけで『黄昏のエビフライ』はダンディー書房より定価300万円で受注販売中!
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by mujyuuryoku | 2007-09-16 02:32 | 嘘読書感想文